スポーツのまち甲子園をもっと楽しむ 甲子園スタイルガイド 2023 WINTER

アメフトの聖地西宮で“冬の甲子園”に注目

大学アメフトの日本一を決める甲子園ボウル。その第78回大会が2023年12月17日(日)に阪神甲子園球場にて開催され、大いに盛り上がりを見せました。Part2ではアメフトの聖地と呼ばれる西宮市で、アメフトを、そして地域全体を盛り上げようと奮闘する人たちの取り組みに迫ります。

2009年より選手権大会化
地域密着型⼤会を目指す

Community based

甲子園ボウルは2008年シーズンまで選手権大会ではなく、関東学生リーグと関西学生リーグの優勝校による「東西大学の王座決定戦」として位置づけられていました。2009年の第64回⼤会からは、全国8学生連盟による全日本大学選手権がスタート。決勝を甲子園ボウルとする全国トーナメントに変更されました。それを機に開催地の西宮市では地域に愛される大会を目指し、関連イベントを実施したり学⽣主体の社会貢献活動を行うなど、さまざまなプロジェクトを開始させました。

100回続く⼤会に向けた
実行委員会の取り組み

Initiatives and Thoughts

甲子園ボウルの運営やPRを行っている甲子園ボウル実行委員会。歴史あるボウルゲームを第100回⼤会まで継続させるため、地域連携事業にも力を入れています。今回は実行委員会に所属する鈴木康藏さんと廣田光昭さんに、学生が主体で活動しているSDGsプロジェクトや甲子園ボウルの今後の展望についてお話を伺いました。

甲子園ボウル実行委員会の鈴木さん(左)、廣田さん(右)

一度限りの天然芝を
新たな場所で再活用

これまでの活動をさらに前進させるための新たな企画「甲⼦園ボウルSDGsプロジェクト」が、2021年にスタートしました。全国から集まった学⽣たちのアイデアのもと、甲子園ボウルはもちろん、西宮市全体を盛り上げようと活動するプロジェクトです。そこで着目したのは、甲⼦園ボウルで仮敷設される天然芝。甲子園ボウルでは阪神甲子園球場の広さを最大限に生かすため、内野グランドに天然芝を敷きつめて試合を行います。芝生メーカーの協力のもと丸2日かけて敷設作業をするのですが、試合終了後の有効な使い道がないことが課題となっていました。天然芝の再利用について模索する中、プロジェクトに賛同してくださる方々との出会いがあり、神⼾港の隣にあるメリケンパークへの移設が実現。移設後の芝生の上を、自由に走り回る子どもたちの姿を見ることができました。今回の事例をもとに、他施設への移設にもつなげていければと考えています。

芝生敷設時のタイムラプス動画

甲子園ボウルから始まる
地域を巻き込んだお祭り

甲子園ボウルが目指す先として、世界で最も古いボウルゲームであるローズボウルを掲げています。ローズボウルはアメリカのカリフォルニア州パサデナで開催されている大学アメフトの大会ですが、プロスポーツに負けず劣らずの盛り上がりで数万人の観客を動員するボウルゲームです。その人気の秘密は、ローズボウルと合わせて開催される地域のお祭り「ローズ・パレード」。鮮やかな花で飾られたフロート車や音楽バンド、騎馬隊によるパレードが行われ、試合が始まる前から会場周辺にたくさんの人が集まります。地域全体が活気にあふれるこのイベントをモデルに、今後は冬の西宮を盛り上げるような地域のお祭りを作り上げていきたいと考えています。最終的に夏の甲子園は「高校野球」、冬の甲子園は「大学アメフト」と認知されるようになるのが目標ですね。2024年は阪神甲子園球場の開場100周年という節目にあたります。甲子園ボウルも第100回⼤会の開催実現を目指すとともに、本場アメリカからも注目されるようなボウルゲームにしていきたいです。

2022年にリニューアルした甲子園歴史館では、甲子園ボウルコーナーを常設しています。その年の対戦校のユニフォームを着たマネキンが、皆さんをお出迎えします。歴代出場校のヘルメットやユニフォームの展示に加え、過去の試合映像も放映中。大会の歴史について楽しく学べる甲子園歴史館へ、ぜひ足を運んでみてください!

甲子園歴史館についてはコチラから

子どもから社会人まで
アメフトが盛んな西宮

Prosperous in Nishinomiya

西宮市では社会人アメフトをはじめ、子どもや女性でも楽しめるようにアメフトのルールを変更・簡素化したフラッグフットボールやタッチフットボールも盛んです。

小学生でも安全に楽しめる
フラッグフットボール

激しいタックルの代わりに、両腰につけたフラッグを取って選手の攻撃を止める、アメフトを起源としたスポーツ。西宮市は甲子園ボウルと協力し、小学生を対象としたフラッグフットボール大会を開催しています。決勝戦の会場は憧れの舞台である阪神甲子園球場。毎年甲子園ボウルの開催前に、球場内の特設フィールドにて実施しています。

女子の全国大会も開催!
タッチフットボール

アメフトを年齢や性別に関わらず、誰でも楽しめるようにと作られたスポーツ。タックルの代わりにフラッグを取るフラッグフットボールに対し、両手でタッチして相手の攻撃を止めるのがタッチフットボールです。武庫川女子大学はタッチフットボールの女子日本一を決めるさくらボウルで、これまで9回の優勝を果たしています。

西宮を拠点に活動する
社会人アメフト

市内のグランドを中心に活動する、社会人アメフトチームの西宮ブルーインズ。2023年現在は社会人2部リーグ(X2)に所属していますが、西宮市のアメフトをもっと盛り上げるために1部(X1)昇格を目指して日々練習に励んでいます。またフラッグフットボールの体験教室や清掃活動など、地域貢献活動にも力を入れています。

Part 1 アメフトを観戦する